お茶(煎茶)を楽しもう -お抹茶だけじゃないお茶のセカイ-

日本の歴史上で語られるところの「お茶」というと、濃茶や薄茶などのお抹茶のイメージが強い方が多いのではないでしょうか。

実は、茶葉をお湯で煎じて出す煎茶(せんちゃ)も、中国からもたらされ、江戸時代には絵入りの指南書が作られるなどして広まっていました。

ところで、緑茶の一種である煎茶は現代に生きる私たちも、急須と湯呑みで楽しみます。

煎茶の方式が確立された江戸時代当時も同じように淹れていたのかというと、実は全く違います。

淹れ方は種々あるようなので、ここで詳しく述べることは避けますが、試しにどんな道具を使うのか、享和2年(1802)頃に刊行された煎茶の絵入りの指南書『煎茶早指南』の茶道具一覧図をみるとこのように…

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100304213/

※嵐翠 著『煎茶早指南』享和2年(1802)序、東京大学総合図書館蔵、国書データベースより、2024.6.5現在

まさに冒頭のイラストであらわした通り、めっちゃ色んな道具を使うのです。(いらない物もあるような気もするけど…)

こうなると煎茶もお抹茶同様、あれこれ道具の取り合わせなんかを考えてしまうようで

様々な煎茶道具の取り合わせを描いた摺物画帖も登場しています。

https://dl.ndl.go.jp/pid/2538955/1/9

※培公 編 松谷山人吉村 画『煎茶図式』慶応元(1865)序、国立国会図書館蔵、国立国会図書館デジタルコレクションより、2024.6.5現在

これは、伊勢崎藩主の酒井忠恒が、門人たちと考案した煎茶道具の図案を、仲間内に配るために摺物にして画帖にまとめたと序文にあります。

こんなことは上流階級の人たちしか出来ないと思いますが…

煎茶も抹茶と同様、飲んで味やその場の雰囲気を味わうのは勿論、道具の組み合わせを考えたりと、色んな楽しみ方があることがわかりますね。

この精神にならって(?)、私も淹れ方をいつもより丁寧にしてみたり、湯呑みや菓子皿の取り合わせを考えてみようかしら…


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