小紋(こもん)。
着物の一種で、繰り返しのもようが型染めされたものを指します。
特に「江戸小紋」は、一見して無地にみえるけれど、よくみると細かなパターンの模様が染められていて、非常にオシャレ。
この江戸小紋から、私は「小紋=江戸の粋」の象徴のように感じてしまいます。
さてさて、今回ご紹介します『小紋雅話』はそんな小紋の図案をまとめたデザインブックなのですが、
そこには、作者の山東京伝らしい江戸人の洒落っ気がギュッと凝縮されているんです!
元々、天明4年(1784)に同じコンセプトの『小紋裁(こもんさい)』が刊行されていまして、『小紋雅話』はその増補版になります。
↓描いた模様の内訳はこんな感じ。
左から
・くまどりしぼり=隈取絞り
・まいまいともえ=まいまい巴 ※「まいまい」はカタツムリの異称。
・ゆきのあし=雪の足 ※「足」は「足跡」のことか。
・かぎ桐
・あめさいく=飴細工
ここで描いた模様は『小紋雅話』のほんの一部ですが、
これだけを見ても、歌舞伎の隈取や町で売られていた飴細工、カタツムリに雪が積もった日の足跡など、当時身近にあふれていただろうモチーフを、お洒落な小紋の柄に落とし込んでいる様がうかがえるかと思います。
本文の基本情報と、全文をみることができるデータベースはこちら!
基本情報
『小紋雅話』(こもんがわ)
山東京伝 作・画
寛政2年(1790)刊 木版墨摺 一巻一冊
データベース
↓国書データベース『小紋雅話』(国文学資料資料館蔵本はコモンズライセンスCC BY-SA 4.0です)
https://kokusho.nijl.ac.jp/work/1131200?ln=ja
↓国書データベース 国文学研究資料館蔵本『小紋雅話』
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200011820/1?ln=ja
(国書データベース 国文学研究資料館蔵本より引用・一部改変(切り抜き))
※2023年11月17日現在
※国文学研究資料館本以外の画像データは、引用する場合は、各所蔵先の要項に従う必要があります。ご注意ください。
本文をみると、模様のそばには、模様の名前だけでなく、ちょっとした説明書きがあることに気が付きます。
説明書きを紐解けば、模様だけでは気が付かない、江戸の共通認識のようなものや、作者の戯作者、山東京伝ならではの、教養とウィットにあふれた面白さも味わえるのでしょうが…筆者は未だそこまでは辿り着けず…
これに関しては、noteあたりでじっくり連載などしてみたいと思います。
そのためには…頑張って読まねば…
山東京伝と柄物に関する戯作はこちらの記事でも紹介しています!