日本美術の掛軸や屏風などで描かれる人物シリーズ。今回は、「胡蝶の夢」。
なにやらロマンティックな響き…に聞こえるのは私だけでしょうか…
自分が夢の中で胡蝶の姿に化けたのか、
実は胡蝶が真実の姿で、
自分は胡蝶がみた夢の姿なのではないか…
夢かうつつ(現実)か、その境が曖昧な様子から
人生のはかなさをあらわす喩えとしても用いられます。
これと同じような言葉で「邯鄲(かんたん)の夢」(邯鄲の枕)という言葉もあります。
蕙斎の『人物略画式』の中には、胡蝶の夢も、邯鄲の枕もどちらも収録されています。
人生のはかなさを思う瞬間というのは、昔も今と変わらずあったと思います。
そんな時、このような胡蝶の夢や邯鄲の枕は、自分たちの先人もまた同じようにはかなさを感じていたのだと、当時の人々の心を落ち着かせる題材となったのかもしれません。