日本美術の掛軸や屏風などで描かれる人物シリーズ。今回は、「菊慈童(きくじどう)」について。

菊慈童の逸話は中国のものですが、この逸話を元にした能の演目「菊慈童(枕慈童ともいいます)」も存在することから、日本でも菊慈童の存在は古くから知られていました。
ちなみに、慈童が犯した罪は「皇帝の枕をまたいだこと」とされています…。
現代の感覚では「そんなことで追放されるの…?」となりそうですが、皇帝の体を、ましてや頭を預ける枕をまたぐということは、相当不敬にあたることだったのでしょう…。知らんけど…。
山奥に追放されたというエピソードから、絵画における菊慈童は、山中で菊に囲まれて描かれることがほとんどですが、鍬形蕙斎の『人物略画式』では、菊を浮かべた大きな甕の後ろに寝そべる姿で描かれていまして、結構珍しい構図をとっています。
重陽の節句の風習の一つである「菊酒」を連想させるように描いたのでしょうか。そう考えると、この慈童は、ただ寝そべっているのではなく、酔いつぶれているのかも…?
『人物略画式』の全文はこちらから読めます!
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/78674
※鍬形蕙斎『人物略画式』木版多色摺、一巻一冊、寛政11年(1799)、メトロポリタン美術館蔵、同館コレクションデータベースより、2025年5月25日
※イラストの『人物略画式』の模写は、メトロポリタン美術館本を元に行い、諸本を元に色付けしました。
【参考文献】
・the能.com 演目事典 枕慈童
https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_085.html
・CHIBASAKE.com 「菊酒」ってどんなお酒?ルーツや効能&自宅で作る方法をご紹介します!
https://chibasake.com/blogs/topics/5135
【用語出典】
・「菊慈童」(精選版 日本国語大辞典)
https://kotobank.jp/word/-50175
※ウェブページの閲覧日は2025年5月27日

