日本美術の掛軸や屏風などで描かれる人物シリーズ。今回は老子(ろうし)についてです。
老子とは、中国古代の思想家で、中国固有の宗教である「道教(どうきょう)」の祖とされる人物です。
老子の絵は、牛に乗った姿で描かれることが多く、美術館・博物館では「老子騎牛図」「騎牛老子図」「出関図」などと題されて紹介されます。
なぜ牛に乗った姿が多いのかというと、実は、老子にまつわるある伝説が関係しているのです。

中国において、儒教や仏教といった他の信仰と互いに影響しあいながら発展を遂げた道教。
この道教は、中国から朝鮮半島、そして朝鮮半島から日本へと伝搬し、朝鮮半島・日本それぞれの民間信仰や文化と結びついて独自の展開を遂げていきました。
中国と全く同じ内容や温度感ではないものの、道教の考えやその始祖とされる老子の存在が伝わっていたからこそ、日本の絵画作品にも老子はよく描かれていたんですね。
老子は牛に乗って果たしてどこへ行ったのか…
牛に乗る老子の絵を見たときは、そんなことを考えてみるのも面白いかもしれません。
『人物略画式』の全文はこちらから読めます!
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/78674
※鍬形蕙斎『人物略画式』木版多色摺、一巻一冊、寛政11年(1799)、メトロポリタン美術館蔵、同館コレクションデータベースより、2025年5月25日
※イラストの『人物略画式』の模写は、メトロポリタン美術館本を元に行い、諸本を元に色付けしました。
【用語出典】
・「老子」(日本大百科全書・ニッポニカ)
https://kotobank.jp/word/-152397
・「道教」(精選版 日本国語大辞典)
https://kotobank.jp/word/-103310
※ウェブページの閲覧日は2025年5月27日

